こんにちは、金魚作家・グラフィックデザイナーの晴智ありさです。
今回のは金魚作家を目指し始めて間もない頃に制作した金魚作品
「はなめく」のお話です。
本格的に作家活動を始めて1年くらい経った時
(専門学校を卒業し、社会人1年目の時です。)
銀座のギャラリーさまより企画展出展の案内をいただきました。
憧れの銀座で出展できるですって…!?
銀座は学生の頃から憧れていた展示場所でした。
胸を躍らせながら、何を描こうかどんな額装にしようか
考えていると、住んでいるアパートの裏に
綺麗なノウゼンカズラが咲いるのを見つけました。
ノウゼンカズラは夏に咲くオレンジ色の花です。
真夏の日差しを浴びてキラキラ輝く姿に魅力を感じ、
金魚と合わせるモチーフに決めました。
当時は、現在のようにコンセプトを固めたり想いを重ねるというよりは
良いと思ったもの・気になったものをそのまま、感覚的に描いていました。
完成した作品のタイトルは「はなめく」
華やかにときめく・時節に合って栄える
といった意味を持つ言葉です。
使用画材は水性日本画絵具(チューブタイプの水干絵の具です)と
アクリル絵の具、ジェッソ、ホワイトワトソン水彩紙です。
金魚のは琉金をモチーフにしたオリジナル。
仕事にも一人暮らしにも慣れない中、純粋に「楽しい」という気持ちで
描き進めていた記憶があります。
無事に企画展は開催され、会期最終日。
「はなめく」が売約されました!
と、ギャラリーから連絡が。
「きっと売れないよね。見ていただけるだけでも十分!
作品が手元に戻ってきたらまたじっくり見返してみよう。」
仕事にも一人暮らしにも慣れない中、純粋に「楽しい」という気持ちで
描き進めていた記憶があります。
無事に企画展は開催され、会期最終日。
「はなめく」が売約されました!
と、ギャラリーから連絡が。
「きっと売れないよね。見ていただけるだけでも十分!
作品が手元に戻ってきたらまたじっくり見返してみよう。」
なんて考えながら送り出したものですから、
実は完成後にじっくりと見返しておらず少し後悔…
嬉しさと驚きと焦り、動揺のようなもの…
とにかくあらゆる感情が同時に押し寄せてきたことを覚えています。
とは言え、初めて売約された作品。
初めて見つかった飼い主。
自身の手で生み出したものが初めて誰かの元へ渡った。
自信を持っていいんだ。生み出すものに誇りを持っていいんだ。
そのように思えた経験でもあります。
「この子は今頃どう過ごしているだろう」
今でもふと考えることがあります。
見返すと力不足と感じる点が多い作品ですが
思い入れのある大切で大好きな1点です。
それではまた!